あれは…

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あれは…

話は、3か月ほど前に遡る。 「彼」を好きになったのは何時だか思い出せない。 でも、気が付いたら「彼」の事を想わない日はなかった。 あたしよりも1回り以上も年下の「彼」... 「彼」の歌う曲を聴いて「彼」のライブでのステージ動画を見つめて、 空が白くなって朝を迎えるのも普通になってしまった。 「あのさ、ダメだってわかってるんだけどさ...「彼」の事が好きになっちゃった」 『は?刹那、何言ってんの?そう言うけどさ、お前...相方いるじゃん』 『龍影(りゅうえい)』に相談すると真っ当な返事が返ってきた。 「判ってるよ。あたしの想いが叶わない事も、受け入れてもらえない事も。 でも、やっぱり『彼が好き』って気持ちはそのままにしておきたくないの!」 『それやったらさ、今後色々と弊害が出るんだよ?判って言ってる、刹那...』 「だけどさ、黙ってるのが嫌なんだよ!」 龍影との言い合いは日常茶飯事。ただ、普通と違う事が1つ。 『龍影』は私『刹那』のもう一つの人格であるという事。 『あのさ、それをあいつに言った所でお前は玉砕するんだよ? それでも言うの?俺、今回ばかりは助けねぇからな』 「判ってる。振られるのは慣れてるから大丈夫」 『そう言う問題じゃねぇよ!また落ち込んで、鬱になるお前を見たくねぇし、 それに鬱の間は引き籠って、代わりに俺が(人格として)表に出るんだよ?』 「それも判ってる。何度も経験したから...」 『いや、経験したからって良いものじゃねぇだろうよ。ホントに何考えてるんだよ』 龍影がため息をつきながら頭を抱えている姿が見える。 『どうなっても知らねぇからな』
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