序章「ゲーム(リアル)」

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 (なんて切り出せばいいんだ……ゲームごときで熱くなっているのは間違いなく自分だ。)  (それでも心配するには十分すぎる事項だ。でもバイト先の店長から急に電話がかかってきてゲームの話とか……あっ……) 「もしもし!店長さんどうしました??」  電話越しでもわかるくらいにバイトの田島美希は緊張している。  緊急の連絡と思っているからだろう。この男にとって緊急ではあるのだが、 「こ、こんばんわ、あはは、緊急の仕事の話ではないからお、落ち着いていいよ!」 「そうですかー、よかったです。じゃぁどうしたんですか?」 「休憩中言ってたゲームの件なんだけどさ……」  言っていいのかどうか戸惑いながらも口にすると言い終わるかそれよりも早くに 「店長さんも始めたんですか! 私も丁度誰かと一緒にギルド入りたいなとか思ってたんですけど、みんなもういろんなところ入っちゃってて……いっそのこと誰かと作りたいって思ってたんですよ! 嬉しいなぁ! あ、今オンラインですか? よかったらこれから遊びませんか?」  と矢継ぎ早に歓びや勧誘の言葉を続けられてしまい、もはややめろ等と言える空気ではなくなり、それどころか (ここまで楽しそうに話すミキちゃんは見たことない……)     
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