3人が本棚に入れています
本棚に追加
「そうなんですよ。私は最初は意味はよくわかってなかったんですけどね、丁度ゲーム新しく始めたいなーと思ってたらすごい人気急上昇のゲームがあって。なんだろうみたいな感じで始めたんですけど、始めたらある意味やめられなくて……」
そう語る少女の横顔は窓から注ぐ月明かりのせいもあってか輝いて眩く思った。
しかし、それは戦いゲームに身を置いた一人の女の闘志が見せた曙光に他ならなかったのだ。
飛び込んできた救援要請は一瞬の間だけ生まれた静寂を切り裂く、男がもう少しで少女とゲームに吸い込まれる前に
「レジ応援お願いします!」
いつもの事務的な一言が空間を現実へと引き戻した。
男は昔夢中になったあのゲームのエンディングはどんなだったか、そんなことに考えを巡らせながらその日の残る時間を業務に当てていた。
意識を現実に戻したのはいつの間にかそのバイトの子が自転車にまたがり帰宅しようというところだった。
「すみませんクレカ使えますか?」
三十歳にさしかかろうという風貌の青年は店長にそう聞いてきた。
「はい。大丈夫ですよー」
と商品をレジに通そうという時、店長は目を疑うような光景が目の当たりにしていた。
「こちらギフトカードはゲーム内課金専用のものですが大丈夫でしょうか」
そう言いながら店長は自分の声が上ずるのを感じた。30枚組の2万円ゲーム用ギフトカードが30束重ねられていたのだ。
最初のコメントを投稿しよう!