始まり、終わり、そして始まる日

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 五月九日。 カレンダーに赤く印がついている、今日は特別な日。 小学校の頃、俺を含めた四人のグループがあった。 リーダー的存在の吉永清三(よしながせいぞう)。 いつもサポート役の氷室圭祐(ひむろけいすけ)。 トラブルメーカーの片島万里(かたじままり)。 そんな三人と一緒にいた、俺。松井荘司(まついそうじ)。 俺は特に何か役割的なものはなかったが、しいて言うなら突っ込みだったかな。 まあ、それはいいとしてだ。 なぜこの日が特別かという話なのだが、清三がこのグループに、『ワンダーズ』という名前を付けた日。 つまり、『ワンダーズ』という子供の集団が結成した日。 あのころから、この五月九日は毎年祝うことになった。 いわば誕生日のようなものだ。 小学校のころはいいかもしれないが、中学には一度うっとおしくなった。 だが、清三の熱い熱意に万里が乗っかり、しぶしぶといった形で圭祐が参加。流れで俺も、という形でずっとすることになった。 毎年親に頼み、ケーキとシャンパンをもってお祝いし、この五月九日が巡ってくるまでにどのようなことがあったのかをお互いに話し、笑い合う。そんな日だ。 輝かしくて、儚い、ひと時の夢のような時間だった。 そんな昔を思い出しながら、まだ月も沈まない静かな夜の空間で、俺は布団の中で天井を見続ける。 ほかにすることもないし、天井を見ることしかないのだがな、こんな姿を見たら、清三なら「しけた顔してないで、さっさとやりたいこと見つけろ! やりたいことやりつくしてから、そんな暇なことしやがれ」とかいうのだ。 それを聞いた俺が「好きでこんなことしてるわけじゃねぇ!」なんて言って、万里が「よし、じゃあ好きになるように、天井にグラビア写真張っておきましょ!」とか言って、圭祐が「おい、天井に張ってはがすとき跡残るだろうが。やめろ」とかクールに言ってくる。
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