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翌日から圭祐との連絡が途絶え、一週間後ほどのニュースで、あいつが自殺をしたということを知った。
清三と俺は、また泣いた。
仲間が消えていくのは、もっと何十年も先の話だと思っていたのに、高校に一人、就職数年で二人も。
このニュースでまた清三は気がふれてしまい、とうとう精神科に通うほどになってしまった。
俺はというと、頑張って働いていた。
別に、別れがつらくないとか、そういうわけではない。
病気でこの世を去った万里の分、生きようとした。
思うところがあり自殺を選んだはずの圭祐の分まで、幸せを得ようとした。
精神科にかかってしまった清三の分まで、頑張ろうとした。
そうして頑張っているうちに、二十年も経ってしまった。
俺もいい年になった。
だが、この二十年間も、この五月九日という特別な日を忘れたことはなかった。
俺は、毎年毎年、万里と圭祐の写真をもって精神科に通い、清三の面会をして、家に帰っては写真を立てて独り言しながら酒を飲む。
そんな姿に耐えかねた嫁に逃げられたが、俺はこの日を忘れたくなかった。
たとえ嫁に逃げられようとも、こいつらとの大切な日を、何もしないで過ごすことはできなかった。
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