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梅
小沢 直様
節分が過ぎたというのに、春はまだ先のようですね。
でも今日は良いことがあったんです。
ベランダで育てている梅の木の花が咲きました。
ピンクの花びらで小さくてとてもかわいいの。
梅といえば、貴方の高校生の時のお弁当、笑っちゃった。
なかなか友達が出来ない私は、いつも一人でお弁当を食べていました。
そんな私の隣の席にあなたはいつも来てくれましたね。
「ここだとさ、梅の木が見えるんだよ。おれ梅すごく好きだから」
変な言い訳をするなあって思いました。
梅の花がすきなのは分かるけど、梅の木が好きな人なんて今まで出会ったことなかったから。
「花はもうちってしまったよ?葉もまだ伸びてない枯れ木みたいな木、見て楽しいの?」
私がそういうと
「お前はわびさびがわかってないな、見ろ、あの幹のうねり具合。最高じゃないか」
熱弁。正直ひきました。
貴方は語りながら弁当の包みを開き、ふたを開けましたね。
ここで私またひきました。
だって、真っ赤だったから。
白いご飯が梅干の赤で征服されていて、目が痛くなるような光景。
わびさびの「わ」の字もないその弁当を見て確信しました。
この人単に梅干が好きなのね。と。
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