ケンカ

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ケンカ

あなたと心の距離が出来始めたのは高校3年生になってからでしたね。 お互い受験勉強や進路のことでイライラすることが増えて、 口論することもふえました。 私は同じ大学に進みたかったけれど、貴方は 自分の行きたいところに行くべきだ。俺に合わせて人生を変えるなんてとんでもない。そう言って私を叱りました。 その時私は、自分のことばかり考えていたから、 一緒に行きたいという気持ちをむげにされたと悲しみ、苦しみました。 その言葉の奥底にある、わたしへの愛に気づくことができなかったのです。 3年という長いようで短い時間をずっと一緒に過ごしてきたのだから、 離れるということがどうしても考えられなかったのです。 だから、ランクを少し下げて、行きたい学部も変えて貴方の行くところを受験しようとしたんです。 今考えると、ほんとうに馬鹿みたいですよね。 それから進路を本来行きたい学校、学部に戻すまで、貴方は私と口も聞いてくれなくて、本当に悲しかった。 でも、そのおかげで、私は本当にやりたいこと。それを叶える道に進むことが出来ました。 ありがとう。いまからでもなんどでも、伝えたい。 初霜 千鳥
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