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父へ
お父さんは仕事が好きで、お笑い番組が好きで、
でも私と話すときはいつも物調面。
そんなお父さんと口を聞かなくなったのはいつごろからでしょうか。
高校の合格発表に軽トラックで連れて行ってくれたこといまでも覚えています。
私は自分が合格したことよりも、一緒に受験した仲良しの友達が落ちてしまったことが悲しくて、全然嬉しくなくて、せっかく合格の祝いにご飯を食べて帰ろうかと言ってくれた貴方にたいして無言で言葉を返すこともしませんでした。
ショックではあったけど、気遣ってくれていたのに、ごめんなさい。
口を利かなくはなりましたが、私はずっと尊敬をしていたのです。
私とおなじj・ベルヌが好きで、
仕事にも近所付き合いにもまじめに取り組んでいて、
キラキラ輝いてみえました。
反抗期だったから、そんなこと言わなかったけど。
ずっとそう思っていたんです。
そんな貴方がいなくなったのはほんとうに一瞬でした。
山での事故死。
遠く離れた地で受けた母からの電話。
私はうまく飲み込めなくて、怖くて震えました。
対面しても、今にも起き上がって、
「かえったんか」と言ってくれそうな貴方
とても亡くなったとは思えないほど、穏やかな表情。
今でも夢に見ます。
貴方のこと、とても尊敬していました。あなたほど立派な父親は他にいませんと、いまからでも伝えたいです。
どうか、どうかこの思いが、空にいる貴方に届きますように。
初霜千鳥
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