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進学をするために、家を離れた日をおぼえていますか?
私は家を出ること以上に、貴方と離れることが不安だったのです。
でも、もういい年だし、自立しなきゃと気持ちを張りつめて
飛行機に乗ろうとした時でした。
両親はいってらっしゃい体に気をつけてねというだけだったけれど、
貴方は
「嫌になったらいつでも帰っておいで」
そういってくれたのです。
私、飛行機の中で一人泣きました。
私の不安な心を感じてくれたのでしょう。その言葉があったから。
一人暮らしの寂しさも乗り越えることができました。
私がまた同じ人に恋をした日をおぼえていますか?
貴方は私に何か言う前に、
「その人と食事にいきたいわ」
そう言ってさっさと店を予約してくれましたね。
そうして、私がふたたび恋をした人のことをしっかり見定めて、
「大丈夫そうだね。愛されてるみたいで安心した」
そう言って颯爽と帰って行きました。
貴方が帰った後、彼とふたりで
「あれはお姉さんというよりお父さんだね」
そう言って貴方のことの褒めあい大会をしていたんです。
この続きまだまだあるけど、今日はこの辺にしておきます。
また手紙を書きますね。
初霜 結花
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