【真実】

2/11
前へ
/119ページ
次へ
ーーーーーーーー ーーーーーー ーーーー 「ーーねぇ、涼。ちょっと、大事な話があるんだけど……。外で、話しいいかな?」  カレー作りも無事に終わり、自分達のテントへと戻って来たところで、俺は涼に向けてそう、話を切り出した。 「……楓。どうしたの?」  テントを出ると、涼はすぐにその口を開いた。 「夢ちゃんの事なんだけど……」 「……夢が、どうかしたの?」  歩きながらそう話し出せば、俺に付いて隣りを歩き始めた涼。 「うん……。夢ちゃん、危ないかも」 「危ないって、何が?」 「優雨ちゃんがだよ」 「優雨が……? どういう事?」  涼は怪訝そうな顔をしながらも、隣りにいる俺を見つめる。 「優雨ちゃんは、夢ちゃんのことが好きなんだよ」 「まぁ……。友達だから、そうだろうね」 「違うよ。女として、好きなんだよ。ラブって事」 「えっ……? だって……、優雨は女……」  俺の言葉に驚きをみせる涼は、信じ難いといった様子で俺を見つめる。 「ーーあっ! ちょうど、優雨ちゃんが来たよ! ……ほら、見に行ってみようよ」  涼の腕を掴んで引っ張ると、テントへと戻って行く優雨ちゃんの背中を追う。    優雨ちゃんがテントの中へと入って行ったのを確認すると、コッソリと入り口を捲って中の様子を伺う。  すると、そこにはーー  眠っている夢ちゃんを愛おしそうに見つめながら、夢ちゃんの脚に触れている優雨ちゃんが居た。  触られている夢ちゃんのワンピースは太腿(ふともも)部分まで捲れ上り、その脚の大部分が露わになっている。  ーー俺は、その姿に酷く興奮を覚えた。  隣にいる涼の様子をチラリと見てみると、驚きに絶句して固まっている。 「……あれ、何やってるんだろね?」  暫く中の様子を黙って覗いていた俺は、隣で固まったまま動かない涼に、そう、声を掛けてみる。  その声に、ピクリと肩を揺らして反応を見せた涼。 「楓……。今見た事は、誰にも言わないで」  それだけ告げると、涼はテントの中へと入って行く。  そんな涼の行動に慌てて、急いでテントの陰に身を隠した、その時ーー  勢いよく、テント中から飛び出して来た優雨ちゃん。  俺の存在に気付かないまま、そのまま全速力で走り去ってゆく。  そんな優雨ちゃんの背中を静かに眺めながらーー  膝を抱えて頬杖をつくと、俺はニッコリと微笑んだのだった。 ーーーー ーーーーーー
/119ページ

最初のコメントを投稿しよう!

72人が本棚に入れています
本棚に追加