【真実】

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※※※  花束を持って階段を上る最中、可愛い夢ちゃんの姿を思い浮かべるーー (……やっと、邪魔な虫を全て排除できたーー)  それが嬉しくて、胸元からネックレスを取り出すと貝殻にそっとキスをする。 「夢ちゃん……」  夢ちゃんとお揃いの貝殻を眺めて、うっとりとした表情をさせる。 「やっとだね……夢ちゃん」  そう小さく呟くと、ネックレスをワイシャツの中へとしまう。    屋上へと続く階段を最後の段まで上り切ったところで、一度小さく微笑みを漏らすと、俺は目の前の扉を開いて夢ちゃん達の待つ屋上へと出た。 「ーーお待たせ。……ごめんね。暑い中待たせてちゃって」 「ううん、大丈夫だよ。楓くんこそ、お花買いに行ってくれてありがとう」  すぐ目の前まで歩み寄れば、とても可愛らしい笑顔で出迎えてくれる夢ちゃん。  その瞳に映るのは、涼でもなければ奏多でもない。  幸せそうに微笑む、俺の姿ーー  俺はアスファルトの上にそっと花束を置くと、そのまま静かに手を合わせた。 (ーーこれで、夢ちゃんは俺だけのものだね……)  心の中で、涼達に向けてそう呟く。 「3人になっちゃったね……」 「……そうだね」  そう小さく呟く夢ちゃんに答えると、俺は夢ちゃんを追うようにしてゆっくりと立ち上がった。 (やっと……っ。やっと邪魔な虫が、全員消えてくれたーー)  溢れ出る嬉しさを必死に堪えて俯くと、その顔を隠すようにして片手で覆う。  堪え切れなくなった喜びに、口元が緩んだーーその時。  夢ちゃんの左手首に付けられた、貝殻のブレスレットに目が留まるーー  俺は緩んだ口元を元に戻すと、ゆっくりと空へ向けて顔を上げた。 (あぁ……。確かあの時……、朱莉ちゃんに見られたっけーー)  指の隙間から瞳だけを覗かすと、朱莉ちゃんに向けてギョロリと動かす。  するとそこにはーー  蒼白い顔をしてカタカタと小さく震えながらも、俺を見つめて立ち尽くしている朱莉ちゃんがいる。  俺は口元を歪ませるとニタリと微笑んだ。 (……まだ、虫が一匹残ってたーー) ーーーーーー ーーーー
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