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エピローグ
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残暑だというのに、まだ猛暑の続く8月ーー
開け放たれた縁側から、風鈴の音色が和室へと送り込まれる。
その涼やかな音色が聞こえる中、テーブルに置かれたアルバムをめくる音が、部屋の中で微かに響いた。
「ーーまた見てるの?」
「えぇ……。ほら、見て。……あの子ったら、夢ちゃんばっかり撮ってるのよ」
「……本当だね。涼は、夢ちゃんが好きだったからね……」
「そうね……」
そのアルバムには、沢山の写真が納められていた。
空に向かって、両手を広げて目を瞑っている夢
楽しそうに、料理をしている夢
カメラに向かって、まるで花が咲いたかのような笑顔を見せる夢
川で佇む、綺麗な横顔の夢ーー
「……そろそろ、お洗濯物取り込まなくちゃ」
「……あっ! 俺、今からサークル行ってくるから。今日は、晩飯いらないからね」
「あら、そうなの? ……じゃあ、今日はお父さんと2人ね。気を付けて行ってらっしゃい」
「うん、行ってきます」
そんな会話と共に、慌ただしくパタパタと鳴り響く足音。
その足音も消え去ると、再び訪れた静寂に風鈴の音色だけが涼やかに鳴り響く。
その和室のテーブルに、ポツンと置かれた一冊のアルバム。
その開かれたままのアルバムにはーー
涼 ・ 夢 ・ 奏多 ・ 優雨 ・ 楓 ・ 朱莉
とても幸せそうな笑顔を見せる、6人の姿があったーー
ー完ー
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