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「「「「「夢!」」」」ちゃん!」
近くにはいたものの、バラバラだった皆んなが一斉に私の元へと集まって来る。
「……ほら、夢。そんなところにいつまでも座ってちゃ駄目だよ」
「夢ちゃん、痛いところない?」
奏多くんが私を抱き起こすと、楓くんが心配そうに私の手や身体に付いた土や葉っぱを払ってゆく。
「夢……大丈夫?」
「こめん、夢。光につられて、虫が寄ってきたのかも。……夢、虫嫌いだもんね。ホントにごめん」
心配そうに見つめる朱莉ちゃんと、申し訳なさそうな顔をする涼くん。
涼くんのせいじゃ、ないのに……。
「っ……ぅ……っ……こわっ……ぃぃ」
涼くんのせいじゃないよって伝えたいのに、それ以上に怖くて怖くて……。
私の口からは、相変わらず怖いしか出てこない。
「ほらぁ……、夢。もう泣かないで? 怖くないから……ね?」
ポケットから取り出したハンカチで、私の頬に流れる涙を優しく拭いてくれる優雨ちゃん。
その声はとても優しくて、なんだかとても安心する。まるで、ママみたいだ。
拭っても拭っても溢れる涙を、優しく何度も拭いてくれる。
「皆んなで一緒に行くんでしょ?」
優雨ちゃんに優しくそう問われ、涙を流しながらも小さく頷く。
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