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「夢……。本当に、大丈夫?」
心配そうに私を見つめる涼くん。
「大丈夫だよ、夢。俺がついてるから」
「じゃあ……こっちは俺ね?」
奏多くんが右手を、楓くんが左手をそれぞれ握ると、「これでもう、怖くないね?」って笑顔で楓くんが言うから……。
本当はやっぱり怖いけど、コクリと小さく頷く。
「あと少しだから、頑張ろう。夢」
いつもの笑顔に戻った涼くんが、ポンポンと優しく私の頭を撫でてくれる。
未だ涙でグチャグチャの顔のままの私は、涼くんのいつもの笑顔が嬉しくて、それにつられるようにして大きく頷いた。
「じゃあ、行こうか」という涼くんの言葉を合図に、改めて出発となった私達。
明かりがある方がいいからとの事で、朱莉ちゃんは涼くんと。
私の右手には奏多くん。左手には楓くん。
優雨ちゃんは、優しく私の頭を撫でながらずっと側にいてくれた。
何故か、さっきまで感じていた恐怖に比べるとそこまで怖くないのが不思議だったけど、私はまた別の意味で苦しむ事となった。
もう、涙は止まったのに……。なかった事にしたいのに……。
「夢ちゃん、泣いちゃったね。……でも、可愛かったなぁ~」
なんて、妙にご機嫌な楓くんが何度も言うからーー
私は赤面した顔を俯かせると、暫くの間楓くんによる公開処刑に黙って堪えながら歩く事となったのだったーー
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