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※※※
「わぁ……っ! 綺麗……」
目の前に広がるその美しい光景に、私はただただ驚いた。
呆然と立ち尽くす私の目の前にあるのは、爽やかなせせらぎの音を響かせる、小さな川。
小さいと言っても、立派な滝まである。
ーーそして、何と言ってもこの景色。
本当にここは、あの鬱蒼とした森の中なのだろうか?
そう思ってしまうぐらいに、全てがキラキラと輝いている。
(……凄い。こんなに綺麗な所があるんだ……)
「ーー夢!」
突然名前を呼ばれて、魂が抜けかかっていた事に気付いた私は、フルフルと軽く頭を振ると声の主に視線を移した。
「夢、おいで」
ニカッと笑って、私に向けて左手を差し出す涼くん。
未だ左右共に繋がれたままだった手をスルリと抜けると、私は涼くんの元へ駆け寄り差し出された手を掴んだ。
「……足元、気を付けて」
「うん」
少し山になっている地面を涼くんに引っ張ってもらいながら越えると、そこに現れたのは先程眺めていた綺麗な小川だった。
間近で見る小川は本当にとても綺麗で、なんだか胸がドキドキと高鳴ってくる。
気が付けば、いつの間にか皆んなも近くに集まっていて……。
「凄い、綺麗だね」と口々にしては、その美しい光景に目を奪われると、暫くその場から動くことなく感嘆の息を漏らしたのだったーー。
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