小5【夏】

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※※※ 「夢ってさぁ〜、涼の事が好きなの?」 「……えっ?!」  朱莉(あかり)ちゃんからの突然の質問に驚くと、勢いで軽く地面に刺さっていたペグを引き抜いてしまった。 (あぁ……。やっと刺さったのに……)  呆然とそんな事を思っていると、少し強めの風に煽られてテントがぐらついた。 「わぁー! ちょ……っ夢! 何やってんのっ!」  焦った朱莉ちゃんの声に、ハッとする。 「あっ……。ご、ごめんね!」  急いでテントの端を掴むと、またペグを打ち込む作業に戻る。だけど、中々上手く刺さってくれない。 「……けどさー。涼は、絶対に夢の事が好きだよね〜」  カンカンカンカン  ペグを打ち込みながらも、再び話し始めた朱莉ちゃん。 「優雨(ゆう)もそう思うでしょ?」 「……そうだね」  興味がないのか、素っ気なく答える優雨ちゃん。  私はこの会話が恥ずかしくて、ただ黙々とペグを打ち込む作業を続ける。ーーそれにしても、刺さってくれない。  カンカンカンカン鳴り響くだけで、ペグは中々埋まってゆかず、ただただ右手の疲れが増す一方。 「できたー!」と言う朱莉ちゃんの声に焦って自分の手元を見てみると、ペグはまだ半分も刺さっていない。 「ーー私がやるよ」  いつの間にいたのか、自分の分のペグを刺し終わった優雨ちゃんが、すぐ隣にしゃがんで笑顔で右手を差し出してきた。
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