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涼くん達に準備させてばかりで悪いと思った私は、その分、料理を頑張ろうと心の中で小さく気合いを入れる。
食器を持って、皆んなの後に着いて流しへ持って行こうとした、その時ーー
「ーー夢」
不意に後ろから名前を呼ばれ、食器を持とうと伸ばしかけた手を止めると、ゆっくりと背後を振り返った。
ーーするとそこには、食材を抱えて戻ってきた奏多くんが立っていた。
澄んだ切れ長の瞳に、キリリとした表情と凛とした佇まい。抱えている食材が何だか似合わなくて、私は思わずクスリと笑みを漏らす。
「……奏多くん、食材ありがとう」
「……。うん」
一瞬、不思議そうな顔をみせた奏多くんは、少しの間を置くといつも通りの表情に戻って頷いた。
ーーその後、皆で食器や食材を洗っているとすぐに涼くんも戻ってきて、お腹が捩れる程に大笑いし合った夕飯作りは本当に楽しいものだった。
私の顔に、洗剤の泡を付けてくる朱莉ちゃん。
お返ししようとしたら、なぜか優雨ちゃんに付いちゃって。それを見て、可笑しそうに笑う涼くん。
夢中で火起こししていたら、いつの間にか顔中が煤だらけでーー涼くんと二人、顔を見合わせ笑い合った。
私が包丁を握ろうとしたら、危ないからと使わせてくれない奏多くん。
そんな奏多くんに呆れながらも、優しく包丁の使い方を教えてくれた優雨ちゃん。
何だかよくわからない虫が飛んできた時には、ビックリして少し涙が出ちゃったけど。「大丈夫だよ」って、優しく楓くんが追い払ってくれた。
料理が上手く出来たと、朱莉ちゃんと二人でハイタッチ。
私がおたまを持ったままだったから……。カレーが飛び散っちゃって、皆んなに少し怒られたりもしたけど。
初めてのキャンプでの料理はとても楽しくて、6人で作ったカレーは本当に美味しくて……。
また、皆でキャンプができたらいいなってーーそう、心から思った。
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