小5【夏】

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 涼くん達に準備させてばかりで悪いと思った私は、その分、料理を頑張ろうと心の中で小さく気合いを入れる。  食器を持って、皆んなの後に着いて流しへ持って行こうとした、その時ーー 「ーー夢」  不意に後ろから名前を呼ばれ、食器を持とうと伸ばしかけた手を止めると、ゆっくりと背後を振り返った。  ーーするとそこには、食材を抱えて戻ってきた奏多(かなた)くんが立っていた。  澄んだ切れ長の瞳に、キリリとした表情と凛とした佇まい。抱えている食材が何だか似合わなくて、私は思わずクスリと笑みを漏らす。 「……奏多くん、食材ありがとう」 「……。うん」  一瞬、不思議そうな顔をみせた奏多くんは、少しの間を置くといつも通りの表情に戻って頷いた。  ーーその後、皆で食器や食材を洗っているとすぐに涼くんも戻ってきて、お腹が(よじ)れる程に大笑いし合った夕飯作りは本当に楽しいものだった。  私の顔に、洗剤の泡を付けてくる朱莉ちゃん。  お返ししようとしたら、なぜか優雨ちゃんに付いちゃって。それを見て、可笑しそうに笑う涼くん。  夢中で火起こししていたら、いつの間にか顔中が(すす)だらけでーー涼くんと二人、顔を見合わせ笑い合った。  私が包丁を握ろうとしたら、危ないからと使わせてくれない奏多くん。  そんな奏多くんに呆れながらも、優しく包丁の使い方を教えてくれた優雨ちゃん。  何だかよくわからない虫が飛んできた時には、ビックリして少し涙が出ちゃったけど。「大丈夫だよ」って、優しく楓くんが追い払ってくれた。  料理が上手く出来たと、朱莉ちゃんと二人でハイタッチ。  私がおたまを持ったままだったから……。カレーが飛び散っちゃって、皆んなに少し怒られたりもしたけど。  初めてのキャンプでの料理はとても楽しくて、6人で作ったカレーは本当に美味しくて……。  また、皆でキャンプができたらいいなってーーそう、心から思った。 ーーーー ーーーーーー
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