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(何……??)
「……ゆーめっ」
(……あっ。……そうだ、私……)
手放していた意識を懸命に手繰り寄せると、何とか覚醒しようと頑張ってみる。
やけに重たい瞼をゆっくりと開いてみれば、そこには視界いっぱいに広がる笑顔の涼くんがいた。
「……っん。寝ちゃってたぁ」
覚醒しきれていない頭で、そんな事を言いながら瞼を擦る。
「うん、知ってる。そんな風に寝てると、風邪ひくよ」
いつもの笑顔でニカッと笑った涼くんは、言いながら私の頭をわしゃわしゃと撫でた。
「……夢。今から、凄い所に連れてってあげる」
相変わらずの笑顔で、今度はくしゃくしゃになってしまった私の髪を整えてくれる涼くん。
「凄いところ……?」
「うんっ。夢、きっと気に入るよ。行きたくない?」
ちょっぴりイジワルそうな笑みを見せられれば、不思議と興味は湧いてくるもので……。
「……行きたいっ!」
興奮気味にそう告げると、涼くんはアハハと可笑しそうに笑って私の頭をポンポンと優しく撫でた。
せっかくだから皆も誘おうとの事で、勿論、その提案に異論などなかった私は、その後、皆んなが集まるのを待ってから涼くんの後へ着いて出発したのだったーー。
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