シチュエーション その1

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シチュエーション その1

まずは、シチュエーションその1。 電車を待っている間の駅のホーム。 突然、見知らぬ女子生徒からチョコを貰う。 そんなシチュエーションがあるかも。 いつも乗る電車が来るまで、時間にして10分程度ある。 意識しすぎるのはよくない。 いつものように何気なく普通に電車を待ってみよう。 電車が来る時間が近づくにつれ、乗車待ちの他校の女子生徒や、 サラリーマンが増えてくると、若干ドキドキしてくる。 期待はしないが、ドラマのような展開がひょっとしたらあるかも なんて思ってみるのも悪くない。 電車が来た、電車に乗る、そして発車のベルが鳴り響く。 シチュエーションその1、何事もなく終わる。 まあ、最初はこんなものだろう、期待なんて裏切るもの。 っと、あくまでもポジティブを装っていた。 乗車後の車内はいつものように込み合っている。 通勤、通学の乗客でいっぱいになる。 毎朝、同じ時間の同じ電車に乗っているとなんとなく、 乗っている人の顔を覚えてしまう。 その中には、以前から気になっている他校の女子生徒もいる。 今日も同じ時間の電車、同じ車両だ。 2月14日バレンタインデーの今日だけは、なぜか意識しすぎて つい気になっている他校の女子生徒を見てしまう。 他人が見れば、ただの怪しいストーカーと思われてしまうだろう。 恐るべしバレンタインデー。 すでに朝から心を奪われてしまっている。 バレンタインデーという日に。
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