美加《みか》

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 『次は終点大阪あべの橋、終点大阪あべの橋です。お忘れ物のないようにご準備ください』  と、車内アナウンスが流れる。  わたしは、今、夜行高速バスの中にいる。昨夜、新宿のバスターミナルから乗車して、現在は朝の六時過ぎ。  乗車時間は十時間近く。何度も何度も眠ろうとしたが、少しうとうとしてはすぐに目が覚めてしまった。その度、車内の運転席近くの時計を見るが十分位しか経っていない。  今は寝不足だ。眠たいよ。  車内は狭くて窮屈だ。格安バスにしたのがいけなかったかな。  父親が新幹線代を出してくれると言ったのにわたしは、断った。  遠慮しないで受け取れば良かった。  だって、わたしは父親の実の娘なんだから。
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