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美加
「であるからして唯たるものを極めるにはこの唯学を学ばなくてはならないのです」
唯が黒板に白いチョークを使いキュキュと『唯たるものを極めるのだ』と書いている。もう馬鹿らしくてあくびが出る。
それより今のこのとんでもない状況にわたしは頭を抱えたくなる。
だって、わたしの隣にわたしが居るのだから。いやいや正確にはわたしの姿をしたお父さんが居るのだ。
「おい、唯、どうして俺もそのプリティー唯学? とやらを受講しているんや?」
わたしの姿をしたお父さんが唯に尋ねる。
「それはですね、お父さんが美加の姿になったからであるのです〜」
唯は伊達メガネを指でクイッと持ち上げわたしの姿をしたお父さんを見る。この偽教師ぶりにわたしは呆れる。
「美加の姿になったからってな……。それより元の姿に戻るにはどうしたらいいんや? その方法を教えてくれや」
「う〜ん、先生にもわかりません。美加の姿になったんやから先ずはプリティーを極める必要があると思うで」
唯は楽しそうにくふふと笑う。
この姉は悪魔だ。
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