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「唯さん~朝ごはんができましたよ~」
と階下からお手伝いさんの梅さんの声が聞こえてきた。
「は~い。今いくよ」
食堂に降りていくといつものように朝ごはんが食卓の上に並んでいた。
お父さんとお母さんは、既に着席していた。
「唯、おはよう」とお母さん。
「唯、おはよう」とお父さん。
わたしも「お父さん、お母さん。おはよう~」と挨拶を返す。
いつもの朝。いつもの朝の挨拶。
わたしの家は、いわゆる金持ちだ。お父さんは会社を経営している。
わたしは、ひとりっ子だと思い今まで生きてきた。お父さん、お母さんの愛情もひとり占め、このお屋敷もわたしの好きなように使えた。
何不自由ない暮らし。わたしは、我儘お嬢様かもしれない。
こんなわたしに妹がいた。
妹は、母子家庭で育ったと聞いた。妹は、苦労を強いられたのかもしれない。
はじめて話を聞いたときは、お父さんには幻滅し、お母さんはお人好しのアホだと思ったが、血を分けた妹には罪はない。
この家に妹がやって来たときには、優しく迎えてあげようかなと、思い直した。
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