美加

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 バスはあべの橋に着いた。わたしは、夜行バスから降りた。  大阪も東京と同じで人が多い。人が波のように右に左にへと流れていく。みんな何処に向かっているのだろうか?  聞こえてくる関西弁。  お母さんと大阪に旅行で来たことを思い出した。  その時に食べた、たこ焼きはふわふわ柔らかくて美味しかったな。  たこ焼きをお母さんと、一緒に食べて『大阪のたこ焼きは柔らかくて美味しいね』と笑いあった。  わたしは楽しかったことを思い出して笑顔になったがすぐに、気分は沈んだ。  涙がこみ上げてきそうになった。だって、もうお母さんに会うことはないのだ。  わたしは、大阪(ここ)で生きていかなきゃならないのだ。  あまりにも辛い。けれど、わたしにはお父さんがいる。そして、お姉さんもいるんだ。  完全に孤独ではない。頑張ろうよ、と自分を励ました。
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