第1の殺人

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何人かの参加者が下山を試みたが、二時間経過しても誰からも連絡はなかった。 つまりそれは、このイベントの参加者と運営だけで殺人事件を解決しなければならないということだ。 「情報を整理してくれないか」 逆円錐のような特殊な形状の建物に臨時の捜査本部が置かれた。団体の責任者である理事長は、事件の推理を試みた。 「はい。死亡していたのはイベントに参加していたn氏です。名前は任意のものです」 「死因は?」 「わたしは医者ではないのでわかりませんが、外傷はありません。抵抗したあともないようです」 「毒殺か窒息だろうか」 「おそらくは」 うーむと理事長とイベントの実行委員長は考え込んだ。とにかく救急車か警察が来ないことには、死因などわかろうはずもない。 「ときに人は」 「はい」 「絶望で死ぬこともあると聞きますが、そういう可能性は?」 「この人はそういう死に方はしないでしょうね」 「やっぱり?」 「たぶん」 二人は再び考え込んだ。死因についてはこれ以上考えなくてよさそうだ。重要なのは善後策である。 「まずいのはですね、自殺でないとするならば、犯人がいるということです」 「犯人はいますよね」 「第二、第三の犯行が行われる可能性があります。すぐに対策しなければなりません」 「はい。すぐに対策します」     
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