0人が本棚に入れています
本棚に追加
「全員を集めてください」
捜査本部に、セミナー施設に残っていたイベント参加者が集まった。
その後の運営の聞き取り調査で、アリバイのない者が五人に絞られた。犯人がいるとすればこの五人に違いない。
「容疑者は絞られましたか?」
「はい、まず〈タラの間〉にいたA氏、B氏の二名です」
理事長は振り返ってホワイトボードに、AとBの名前を書き込んだ。
「どうしてアリバイがないのですか?」
「彼らはお互いがお互いしか証言者でないからです」
「なるほど。どうしてこの二人は同じ部屋に?」
「それはちょっと憚られますので察してください」
「わかりました。次の人は?」
実行委員長はメモに目を落として、次の情報を読み上げた。
「ええと、これはなんと読むんですかね」
「え? ああ、これはヒラメです」
「じゃあ〈ヒラメの間〉のC氏がアリバイがありません。供述ではずっとのこの本部のある建物で、プロットを考えていたそうです」
「プロットを? ずっと?」
「そうですね。結局なにも思いつかなかったそうです」
「なにも?」
「そのように言っていますが、成果がアップロードされていませんでしたので問い詰めたところ、結局思いつかなかったと」
「なるほど。アリバイとしては難しいですね」
最初のコメントを投稿しよう!