第1の殺人

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「全員を集めてください」 捜査本部に、セミナー施設に残っていたイベント参加者が集まった。 その後の運営の聞き取り調査で、アリバイのない者が五人に絞られた。犯人がいるとすればこの五人に違いない。 「容疑者は絞られましたか?」 「はい、まず〈タラの間〉にいたA氏、B氏の二名です」 理事長は振り返ってホワイトボードに、AとBの名前を書き込んだ。 「どうしてアリバイがないのですか?」 「彼らはお互いがお互いしか証言者でないからです」 「なるほど。どうしてこの二人は同じ部屋に?」 「それはちょっと憚られますので察してください」 「わかりました。次の人は?」 実行委員長はメモに目を落として、次の情報を読み上げた。 「ええと、これはなんと読むんですかね」 「え? ああ、これはヒラメです」 「じゃあ〈ヒラメの間〉のC氏がアリバイがありません。供述ではずっとのこの本部のある建物で、プロットを考えていたそうです」 「プロットを? ずっと?」 「そうですね。結局なにも思いつかなかったそうです」 「なにも?」 「そのように言っていますが、成果がアップロードされていませんでしたので問い詰めたところ、結局思いつかなかったと」 「なるほど。アリバイとしては難しいですね」     
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