第1の殺人

4/6
前へ
/6ページ
次へ
委員長はホワイトボードに、三人目の名前を書き込んだ。 「次は?」 「はい、〈イワシの間〉ですね」 「なんで魚の名前ばっかりなのですか?」 「おそらく施設の資金提供者が回転寿司店のオーナーだからですね」 「そうなんですか?」 「施設の名前にもつけられていますから」 理事長が場内マップに目を落とすと、なるほど確かに有名な回転寿司チェーンと同じ名前がつけられている。 「部屋は確かすべて一人部屋ですよね」 「ええ。一人部屋です」 「AさんとBさんは?」 「察してください」 「ああ、はい」 実行委員長は、メモに再び見て容疑者を読み上げた。 「この部屋にいたのはD氏ですね。ずっと眠っていて、雪にも騒ぎにも気づかなかったそうです」 「D氏はn氏と仲が悪かったということは?」 「どうでしょう。情報としては入っていません」 「あとの一人は?」 「ああ、ええとですね。これはなんですかね」 「どれですか?」 「この字です」 「うーん。読めない」 スマホで検索を試みたが、まだ電波状態は回復していなかった。しかしここで手をこまねいていたのでは、さらなる殺人が起こってしまうかもしれない。それはなんとしても避けたかった。 「とりあえずそこはXにしておきましょう。その部屋にいたのは?」     
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加