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「ああ、これはウグイですよ。〈ウグイの間〉です」
「ウグイですか。よく読めますね」
「昨日n氏に教わったんですよ。Tシャツが寿司屋の湯呑みみたいになっていてクイズやっていました」
「ああ、あの人いつも変なTシャツ着てましたもんね」
「あったあった。あれか」
理事長は、ホワイトボードの文字と、ダイイングメッセージのメモを見比べた。
動機は判らないが、容疑者はわかったような気がする。
「そうか。わかったぞ」
「え!」
「CとEをすぐに拘束するんだ」
「わかりました!」
副理事長は捜査本部を飛び出して、容疑者の待つ別室に向かった。
「理事長。どうしてこの二人だと?」
「わからないのですか?」
理事長はニヤリとしながら、メモを実行委員長に返した。
実行委員長は理事長と同じようにホワイトボードとメモを交互に見た。
〈ヒラメの間〉のCと〈ウグイの間〉のE。そしてメモに残された元号の二文字。
そうか。
そういうことだったのか。
被害者であるn氏は、最後の力を振り絞って、このメモを残したにちがいない。
雪はいつの間にか止んでいた。
END
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