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「あっ、いた!お母さ~ん!」
「のぞみ!」
無事に二人が会えてよかった、と私は胸をなでおろした。
私が行ったのは、近くのおもちゃ屋さん。
そう、最近はやってる卵というのは、平成31年現在も新作が流行中の『たまごっちゃ』というケータイゲーム機だった。
お母さんはのぞみの小学校合格祝いにたまごっちゃを買ってあげるつもりだったらしい。
「お姉ちゃん、ありがと~!」
「あっ、待って」
「ん?何?」
「何?って。とぼけないでよ。平成の記憶を消し去った張本人、冷夏のぞみさん」
「.........」
しばらく黙り込んで、のぞみはパチン、と指を鳴らした。
すると、のぞみの母親や、全てのNPCが消えた。
「いやぁー、君には驚いたよ。ホントはもうちょい隠しておくつもりだったんだけどねー」
小さい冷夏のぞみは、もういなかった。
前に立っていたのは、私と同じくらいの背丈の少女。
「でも、記憶を戻すわけにはいかないから、もう少しここで遊んでもらうよ?それより、なんでわかったの?」
「あんた、おかしいじゃん、いろいろ」
私は少し間を置いた。
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