0人が本棚に入れています
本棚に追加
私は、マグカップの中に少し残った、ぬるくなった豆乳を、ぐるぐる揺らしながら言った。
「うん?どこらへんが?・・・ああ、そうか、意味がね。」
「意味のこと言ってるんじゃなかったの?」
「うん、意味はよくわかんないよ。でも、そうか・・・諸行無常ってこと、なのかな?」
「うん、そんな感じじゃない?」
「マリは、せつないと思う?」
今度は、まっすぐ私を見て聞いた。
「そりゃあそうじゃない?だって、綺麗なものもいつまでも綺麗なわけじゃない、って・・・」
私はそう言って、もう一度豆乳をぐるぐる揺らして、揺れるのを見ながら考えた。
「まあ、改めてそう言われると、そうじゃない気もしてきたけど・・・」
「ふふ、困らせちゃったね。」
彼はいつもいたずらっ子のように、そして静かに笑う。
「ねえこのアルバム、聴いていい?」
「もちろんいいけど・・・今はやめとこ、寝るテンションじゃなくなる。」
「ふふ、テンションあがっちゃうんだね。」
彼はそのアルバムを手に持って、私の隣に移動してきて座った。
彼が私の家に来て1か月ほどが経つが、彼とこれ以上に近づくことはない。
ソファの隣に座った時が、彼と一番近づく時だ。
「マリが好きなのはどの曲?」
最初のコメントを投稿しよう!