恐竜みたいじゃない男子

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5 (何もこんなに大量をもたせなくてもいいのに……)  昼休み、弁当を食べ終えた後トイレの前で偶然会った五限目の先生に手招きをされ、梨呼がついていくと、待っていたのはプリントの山だった。 「これ、配っといてね」  と悪魔の笑顔で言われ、今の状況に至る。  窓からは男子の声が聞こえてきていた。サッカーでもしているのだろう。 (これだけ遠ければ大丈夫なのにな)  そう思い、梨呼は考える。 (本当にきっかけはなんだったんだろう)  中学校の入学式のとき、学ランを着た男子に圧倒されて……。そこまではよく覚えている。  詰襟、学生帽、軍隊のようなイメージを受けたんだった。  そう、それから、男子と言えば近くにいたのは広大だった。 朝希と一緒にいると自然と広大と会うことが多かったからだ。  中学校に入りたての広大はいつも憮然としていて、今より気性が荒くて、怖かった。近づくだけで怒鳴られそうな。触れれば刺されそうな。  そう、梨呼にとって、広大のイメージはとても強かった。 (あれ?)  そこで梨呼は男子と言えば広大をイメージしていた自分に気がついた。 『朝希ちゃんの幼馴染の、とっても恐い竹田君』 (竹田君には失礼だけど)  梨呼の男性恐怖症の原因は広大にもあるようだ。 (なんだ、私も意外と単純だ)  男子も同じ人間。全員が広大ではないし、今の広大はあの頃の広大より大分穏やかになっている。 (すぐにとは行かないけど……)  ゆっくり、ゆっくり慣れていければいいなと梨呼は初めて心から思った。  そのとき、窓から突然強い風が入ってきた。
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