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俺とお前で話し合う。
バレンタインとは、蕩けるように甘い季節。
全人類が愛し合うような……そんな日。
「……って、んなわけあるかぁぁぁあああ!!」
がっしゃぁん!! 俺はちゃぶ台ならぬ優雅なお茶会にありそうなテーブル返しを盛大にした。
「ちょっとぉ……美味しいお茶が台無しなんだけどなぁ」
「うっせえぞ、悠利!! お前よくこんな状況で茶なんて飲んでられんな!!」
俺の行動を見越してか、彼はコーヒーカップではなく水筒でお茶を飲んでいたようだ。流石だな。
その水筒を拾いながら彼は言う。
「別に? 仕事は仕事でしょ? そーんなの、適当にやれば大丈夫だよ、ね、透」
俺、牧透と高峰悠利は草梁高校2年の新聞部である。
悠利とは中学校からの親ゆ……いや、と・も・だ・ちで!! この高校では仲良くしている方だ。
新聞部は、今いる2人で部員は全員。いつも2人で草梁新聞の内容を作っている……と思われているようだが、悠利は適当優雅人間ということで、デザイン化と印刷専門なのである。まあセンスだけは俺とマッチしているようで、思っていた通りの物を出してくれるのはありがたいが。
ただしかし……しかしだな……今回のテーマは悠利の力も借りなければならない、と俺は思っている。
「なぁんで俺が“バレンタイン”なんてテーマで書かされなきゃいけねえんだよ!!」
そう、今回のテーマはバレンタイン。
非リアの俺含めこの高校に通う全ての非リアの男達にとって最悪であり最低の日さらにそんな男達の中で女子にチョコを貰った奴がいたとなれば晒しあげられこの校内のどこかに惨めったらしくぶっ倒されて幸せなんだか苦痛なんだかよく分からない状態で放置されるのであるあっはっはざまあみやがれ。
「こんなテーマ誰も喜ばねえ!! こんなの無視していいか? していいよなぁ!?」
「まぁ、それが生徒会様々からのご依頼じゃなければねぇ」
「くそがぁ……」
何なんだ!? 生徒会長の楠木は俺と同士じゃなかったのか!? ふざけるな!! ……っま、まさか……あいつは俺を裏切って……!? いやそんなはずはな
「はーいはい、透、そこまで」
「はっ、いつの間に口に出して……!?」
悠利が目の前で手ぇ振ってくれなきゃ、また1時間1人で喋ってるハメになるとこだった……!!
「何なんだ、からかなぁ」
「いや最初からかよ」
「セルフツッコミお疲れ……さ、行くよ」
おい珍しいな、悠利が積極的なんて。
「どこ行くんだよ」
「決まってるでしょ?……スイーツ店だよ」
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