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赤やピンクのハートマーク。
色とりどりの箱やラッピング素材。
これから溶かされ混ぜられ、焼かれ冷やされる材料達。
そこに群れを成す人達の中で、私はすでに箱詰めされたチョコレートのショーケースの前に立っていた。
去年はここのお店の食べたから……でも今年も美味しそう……くぁー……悩むぅ。
この国のバレンタインは女から男にチョコレートを贈るのが定番になっているが、私は今年もそれから外れる。
理由は単純明快に至極簡単――渡す相手がいないのである。
結婚もしていなければ彼氏もいなく、好きな人もとんとご無沙汰で現れない。
会社での義理のなんちゃらとかいう会費制度は例年通り諦めたものの、今の機会は忘れない。
バレンタインは嫌いでも、私はチョコレートが大好きなのだ。
まったく、チョコレート好きの祭典はやらないくせにこういうのはずーっと続けてなんのつもりかしら。
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