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「よう、リシェちゃん!」
「リシェ。何だよそれ、行儀悪いなあ」
お姉さんらしい発言をしながら、マルテロは苦笑する。
「持っておかないと虫が寄ってくる。…良かった、こっちに来たんだな」
そばかすの顔を照れ臭そうな表情に変え、彼女は頷いた。
「アシェリに勧められたんだ。自分は大丈夫だから、お姉ちゃんはお姉ちゃんらしい生き方をしてって。…あの子、あたしが思うよりずっと大人だった。だからあたしも大人にならなきゃいけないんだ。ここで勉強して、一人前になったらミルトランダに戻る。おじさん達にも恩返ししたいし、手に職をつけないといけないから」
そうか、とリシェは安堵した。
ヴェスカはマルテロの頭に手を乗せると、彼女の髪をがしがしと乱しながら「よし」と笑う。
「パフェ食おう。マルテロ、そうしよう。俺が奢ってやるからよ!新しいスタートだろ?門出を祝ってやる!」
「ちょっ…!髪乱れるだろ!もう、離せって!」
意気揚々と彼女の腕を取ると、露店へと走り出した。
言い合いをしながら店へ向かう二人の姿を見ながら、リシェは自分のパフェを口に含む。
その一口は、この先の未来にある幸せの味がした。
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