第十二章:魂喰い◼️

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「人の姿で丸裸になったら捕まりますからね。今日は我慢しなさい」  獣の姿でもファブロスの姿は立派なものだったが、人の姿に変化した時もかなりの美丈夫だ。  同じ人の形にも関わらず、その姿形はやけに近寄り難い何かを感じさせてしまう。  まるで謎の圧力を受けてしまいそうな雰囲気があった。  オーギュの分かりやすい細身の体とは違い、ファブロスは彼より身長も高くがっしりとした体型で、獣としての名残なのか厚みのある胸元は逞しさをここぞとばかりに見せつけてくる。  髪は背中まである銀色の直毛。  オーギュは長過ぎては邪魔になりますからと言いつつ、切らずに一つに縛って纏めていた。  ファブロスと一緒になってからは、オーギュは甲斐甲斐しく彼の世話をしつつ人間としての生活を彼に教える毎日。  人間の食事も次第に慣れてきた。食事と称して彼がオーギュの精を供給する場合もあったが、一度始めるとひたすら甘えてくるという状況に陥るので頻度を減らし気味だ。  元々オーギュは体力に自信は無い。
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