朝に恋して

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 学校を卒業して、それから十数年。僕は縁あって色々な人と出会い、少しずつ、表に出ることに慣れてきた。同じ道を歩いても、小学生の頃とはまったく空気が違っていた。  もうすぐ終わる。もうすぐ変わる。そんな雰囲気だった。  昭和の終わりは突然だったけれども、平成はゆっくりと終わっていく。みんな、新しい時代に何か期待をしているのだろうか。また、新時代の期待や希望と言う名の王水で、絶望が溶かされいずれ純化するのだろうか。  平成が始まってから約三十年。始まったばかりの頃の事を、僕は未だ思えている。あの時溶けて消え去りそうな自分の四肢をつなぎ止めようと必死に書いていた小説を、今でも書き続けている。  時代が終わりかけている今、僕はあの頃と何か変われただろうか。僕は……
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