ハルカカナタ

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今日は特別な日だ。 あの日からもう10年… 「なぁ…見てくれているか…?」 蒼く蒼く澄み渡った空はどこまでも続き、遥か彼方へと繋がっている。 きっと、この空の遥か彼方は貴方のいるところへも繋がっているはず。 大きく暖かかったシワだらけの手が大好きだった。 笑うとシワシワになる顔が好きだった。 気がつくと、俺はじいちゃんより大きくなっていた。 じいちゃんはどんどん小さくなる。 俺はどんどん大きくなる。 背も追い越し、手だってじいちゃんよりも大きくなっていた。 「大きくなったなぁ…」 真っ白で無機質な部屋の真っ白なベッドに横たわるじいちゃんは、俺の手を握りポツリと呟いた。 それが最後だった。 あの日、約束したんだ。 それをやっと果たせる日が、報告できる日が来たんだ。 細く細く立ち上る煙とともにゆっくりと灰になっていく線香を墓前に供え、手を合わせて、静かに目を閉じた。
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