結成!土佐勤王党

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 文久元(一八六一)年四月の事だ。藩命により、江戸に出ていた下士の大石弥太郎から、半平太の元へと便りが届く。  手紙の内容によれば、弥太郎は勉学に励む傍ら、諸国の攘夷派と親交を深めているのだと云う。  そこで、そんな攘夷派の同士に半平太を紹介したく、彼の東上を弥太郎は促して来たのだ。  またとない機会の到来である。半平太は、心の躍動を抑え切れず興奮した。  すぐ様、所定の手続きを整え、半平太は江戸に向け旅立つ。彼が江戸に到着したのは、夏の盛りを迎えた七月だった。  さっそく、弥太郎の働き掛けで会合を設ける事になり、半平太はその集まりに参加する。  この時に集まったのは、長州の桂小五郎、久坂玄瑞、高杉晋作、薩摩の樺山三円、水戸の岩間金平など、攘夷の志に燃える若者達であった。  彼らとの対話や意見の交換は、半平太にとって、とても刺激的で貴重な経験となったのだ。  ところが、一方で土佐の現状や自身の置かれている立場にも否応なく気付かされた。  今の土佐藩は、他藩に比べ尊皇攘夷の動きに立ち遅れている。  そうした状況に対して、半平太自身、未だに有効な手段を講じる事が出来なかった。
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