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「……ありがとうございました。昨日の蜂蜜玉葱効いたみたいです」
一応マスクは今日もしているが、あの後何度か飲んだ玉葱エキスを含んだ蜂蜜二杯はすごく効果があった。民間療法恐るべし。
「だろ?あれうちのばあちゃん直伝なんだよ」
くしゃくしゃっと大柄な熊男が笑った。
「そうですか。じゃあお礼伝えといてください」
「それなら作ったのは俺だから、俺にお礼」
お礼はさっき言ったでしょ?と心の中で突っ込みを入れながらも一応二回目のお礼を言う。
「……ありがとう、ございました」
「いや、そうじゃなくって!お礼にデートして」
お礼にデートって……。
本来デートは好き合う二人でするもんじゃないのか?
「……それは無理です」
「何でだよ?好きな奴とかいないって前に言ってたろ?」
好きな人いなくたって苦手な人とのデートは無理でしょ?
だからその強引さはどこから生じる?
「すみません、私……あの、前から言いたかったんですが私、ぐいぐいこられるの苦手なんです。大熊さんの強引さはちょっと……生理的に無理というか、すみません」
頭を下げて謝ると、そのタイミングで私は店長に呼ばれて「すみません」ともう一度立ち尽くす彼に謝り踵を返した。
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