箱をころがす。

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「時よ、止まれ」 永遠に続くなんて、未来永劫なんて、信じているわけではない。 そんなこと、有り得ないことは知っている。 ここで 時が止まってしまえばいいのに。 ここで 人生が終わってしまえばいいのに。 しあわせな一瞬に、いつも想うこと。 君の無邪気さは、人を傷つけるんだ。 誰かに言われた いつかの言葉が いつまでも刺さって、消えない。 無邪気さを 身に纏うことでしか、逢えなかったのに。 でも、私は、また同じことを 繰り返す。  いつかの終わりを 決して望んでいないから いつも 誰かの言葉に頼ってしまう。 甘えている。 決して 誰かに 心を渡しなどしない人間のくせに。 心は いつまでも自由に、誰にも束縛されずに。 * 一人でも 生きていきたい。 そう想って 武装して 粋がって 早足で歩いていた。 そんな過去の自分に 言ってあげたいよ。 君の人生は、しあわせだよって。一人じゃないよって。 そして、同時に 大切な人たちのことを 今度は、君が守っていきなさいって。 守られてばかりいないで。 そうして、春の風になりたいと願う 私が生まれ 包みきれないことばかり、たくさん抱えて、消えてゆく。 涙は枯れることを知らず、彼方へと飛ばされてゆく。 もうすぐ、雨の季節だ。
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