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今日は特別な日だ。
何故なら、最近この街で起こっている連続殺人事件の犯人の尻尾を掴めたかもしれないからだ。というか、たぶんこの犯人は相当なバカか自己顕示欲の塊なのに違いない。
そこには、犯人が使ったと思われる凶器と、更には被害者が最後の力で剥ぎ取ったらしい犯人の衣服と思われる繊維片が見つかった。しかも、どうやらオーダーメイドでしか服を作らない特殊な仕立て屋で拵えたものらしい。
『あぁっ、これは例の仕立て屋が最大手の人形師とコラボして作ったっていう幻の服! あぁ、そうかこの犯人の為に仕立てられたものだったんですね……! う~ん、勿体ないこんな業物をこんな汚い場所で着てしまうなんてあぁ勿体ないソレガシが見かけたら必ずやこの衣服の素晴らしさと』
そのことを突き止めた鑑識の言葉を最後まで思い出す必要などないが、この発見によって捜査は一気に進展することになった。
強いて言うなら大変だったのは、町外れにある仕立て屋を訪ねた時にそこの主人である老婦人からその服を作った客の名前を聞き出すことだろうか。客の個人情報は漏らせない、とごねるご婦人を説得するのは大変だった……。あの婆さんには何の罪もなかったわけだからな。
そうしてようやく突き止めた犯人。
「マルグリット・フランボワーズ、貴女をこの件の重要参考人として同行願う」
捜査線に浮上したのは、この街の名士の娘。
齢16歳の、見た目からすると華奢で大人しげで、何よりとても子どもっぽい少女で、正直こんな血生臭い事件なんかとは無関係だと思っていた。
だから、油断していたのだろう。
「へー、あんな服の切れ端からわかっちゃうのね。警察ってすごいですね!」
向けられた満面の笑みに、思わず俺は凍り付いてしまった。
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