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「覗きとかやめなよ」
「いや、違うって!」
どうだかといった顔で志保が俺を睨んだ。シャープな顔立ちの志保がそんな顔をすると本当に迫力がある。
「……ふられたんだし」
「分かってる! ってか、マジ誤解だからな。忘れ物取りに戻ったら入れない雰囲気だったってだけで、覗きとかじゃないから」
ふられたとか一年も前のことを持ち出すなよとぼやけば、志保は「まだ好きなくせに」と返す。
「別に嫌いになる必要ないし。ってか、かわいくって癒しなんだからいいだろ……そんくらい」
俺は一年前にカナに告白して断られている。そして数日後のバレンタインにカナは自分から告って翔平と付き合うようになった。
部活中は親しげなそぶりを一切見せないが、翔平は部活帰り必ずカナを家まで送っていく。ふたりの関係がうまくいっていることは疑いようもない。そしてさっきもきっと。
「ちゅーしてたよな」
「キモっ。そういうこと言うの最低だからね」
「へーへーすいません」
志保はちょいぽちゃで癒し系なカナと真逆で、モデルばりのガリガリ体型にキツめの顔立ちをしている。
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