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今からでも、旅行に連れていけばいいでしょう。
今からでも、普段の会話から特別なことを見つければいいでしょう。
今からでも、私の仕事のこと根掘り葉掘り聞いて褒める場所を探せばいいでしょう。
今からでも、いいでしょう。
父を責めたい気持ちがこみ上げると同時に、そんな父の特別と微塵も向き合わなかった自分の過去をみさ子ははっと思い出す。
それはまるで自分に向かっての言葉にも思えた。
見て見ぬ振りをして来たことを振り返り、目を閉じて悔やんだ。
「今からでもーー」
みさ子が口に出来たのはそこまでで、父が亡くなったのはそれから2週間後のことだった。
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