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「でもさ、先生の口癖には頭痛かったよな」 「ほんとほんと、朝まだねっむいときから熱いのなんのーー」 「「今日も特別な1日が始まったぞ」」 3人は声をそろえて言ったかと思うとまた大きな口を開けて笑う。個室とはいえ看護師が注意しに来ないかと、みさ子はちらりと入り口を見遣った。 「最初はしんどくてしょうがなかったんだけどさ、不思議なもんだよなぁ。何かしら今日にツメ跡残してやろうって思うんだよなぁ」 「特別っていうか、普通で終わらせたくないっていうか」 それがわかってれば十分。そう落ち着いた口調で言う父の表情は、心なしか照れているように見えた。みさ子が知らぬ表情だった。それだけに、別世界の話を見せられているように実感が湧かない。だから彼女は教え子たちにお茶を出したり、狭い個室の中でせわしなく手を動かすことにした。 学校でも同じことを言っているであろうことは何となく察しはついていたが、いざその信奉者を目の当たりにするのはみさ子にとって決して気持ちの良いものではなかった。 ただ自分が息子であったなら、こんな体育会系の熱い思考の話も少しは理解出来たのかもしれない。そんな思いもあった。
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