前夜

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そんな彼女に出会ったのは高校からだ。 市内に1つしかない進学校に俺たちは進学した。お互い面識も無く、クラスも違った。 俺たちが話したきっかけはやっぱりバスケだったと思う。 アイツもミニバスからやっていた。でも、全く思い出せない。試合で会っているはずだがと思っていると、案の定小中学校は県外にいたのだと言っていた。 アイツの学校のバスケットチームはアイツ以外お遊びらしくて、毎日兄と特訓していたそうだ。 バスケットボールは団体競技。 アイツは同年代と一緒に汗を流して嬉しい事、悲しい事、辛い事、きつい事を乗り越えたかったんだ。 だからこの高校にきたんだ。 と笑って言った。 その時、アイツが眩しく見えた。 初めてだった。笑顔を見てなんか無性に泣きたくなるのも。上手い言葉をかけようとしても見つからないことも。心臓がドキドキうるさいのも。 付き合った人くらいいた。 それなりに好きだったと思う。 告白されて、まぁまぁかわいかったから付き合って、手を繋いで、キスをして。 でもやっぱりなんか違って別れて。 アイツに出会ってから気づいた。 あぁ、これが恋か。 悪くなかった。むしろ心地よかった。
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