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ベットに寝転びながらアイツのことを考える。
明日はバレンタインだ。
アイツは俺にチョコをくれるのだろうか、
そもそもバレンタインだと知っているのか怪しい所だ。しかも、アイツは俺に告白されるなんて微塵も感じていないだろうな。と、くすりと笑う。
アイツは、いや。アイツだけじゃない。他のやつらもみんな俺がアイツに告白するなんて考えていないだろう。
アイツはモテた。過去形だ。
いや、現在進行形であるとも言える。
スラリと伸びた手足、挑戦的な笑みを浮かべる薄い桜色の唇、細くサラサラと揺れるセミロングの髪、意志の強さが伺えるパッチリ二重の目、すべて非の打ち所のない容姿をもったアイツは、当然モテた。
欠点を上げるとすれば、恋愛に全く興味が無いところだ。本当に興味が無いのだろう。告白されてもバッサリ断る。それが彼女のスタイルだった。食い下がるものも中にはいたが、こっぴどく振られる。……らしい。
それから彼女に告白しても誰一人として脈が無いと分かるとみんな片想いに徹し始めた。
まぁ、すでに学校中のアイツを好きなやつはほぼ告白し終わっている。誰も好き好んで、自分の好きなやつに2度もこっぴどく振られるのは気が進まないだろう。
もちろん俺もだ。アイツも俺と同じ気持ちだったら嬉しいし、告白するからには付き合いたい。俺のささやかな願いに希望は絶対無いとは言えないだろう。
とは言っても相手はあの難攻不落の恋愛興味皆無女である。絶対無いとは言えない希望は無いに等しいくらいだ。分かってはいる。無謀だと。
でも、好きだから。
振り向いてほしい。気づいてほしい。
……好きになってほしい。
これは厚かましい願いなのだろうか。
俺はそのままアイツのことを考えながら眠れない夜を過ごした。
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