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洒落たバーでカシオレを頼んだ男の話
小雨のさんさんと降る1月の夜、僕は店の前に立つ。
くたびれた赤色ネオンがトンツートンツーと瞬く。
店の名は「monsieur」といった。
エイジングの施されたオークのドアを前に、そのときの僕は震えていた。
中を覗こうとしたが、店の窓は僕の頭二つ分高い位置にあった。
なんて意地の悪い作りなんだろう?
それは、外界と途絶した雰囲気の演出をするためなんだって。
そんなことは僕だって知ってる。だから怖いんだ。
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