0人が本棚に入れています
本棚に追加
ボロボロになった立ち入り禁止のテープを、私達は潜り抜けた。
昔は警察が24時間見張っていたけど、今は近づく人すらいない。
「簡単に入れたね」
「出たら100%死ぬと言われているのに、行く馬鹿はいない。見張りの必要がない」
「いないかなあ」
私はなんだか可笑しくなって笑ってしまった。
鉄の階段を黙々と上る。無機質な二人分の足音だけが地下に響く。
階段の終着点は、まっくろな私達の”空”だ。
「着いた」
”空”に取り付けられたハッチの取っ手は、錆び付いて不気味な色になっていた。
「知ってるか、使われている金属によって錆びの色が違うんだ」
「知っててもなにも役に立たないよ」
「そうだな」
あなたは取っ手を持つと、力いっぱい回し始めた。
錆びを剥がすようないやな音を立てながら、取っ手は少しずつ回った。
やがて、ごおんと鈍い音をたててロックが開く音がした。
「開けるぞ」
そう言うと、まったく躊躇もなくハッチを開いた。
「見える?」
地上に出た私たちが最初にみたのは、圧倒的な青だった。
「何、これ」
そういえば、前に教わったんだった。
空は、青い。
最初のコメントを投稿しよう!