眼福

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錆び付いた世界に、2人。 でも、1秒前は少し違う。 真っ青な空と、冷たいのになぜか心地よい風。 朽ち果ててほとんど原型をとどめていない建物たち。 アスファルトはひび割れて、網目模様になっている。 私達は、どこへ向かうともなく歩き始めた。 「そういえば、私達、まだ生きてる」 「生きてる」 「嘘っぱち」 「嘘だった」 「死なない」 このあとどうなるかはわからないけど、と言いかけて、やめた。 きっと2人は大丈夫。あなたはそう言うに違いない。 いつの間にか、私たちは走り出していた。
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