終章 一年越しのバレンタイン

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終章 一年越しのバレンタイン

 さあやってきました二月一四日! この運命の日を迎えた心境は? 「まあ、ダメですよね…」  意気込んで取り組んではみたものの、技術の差は気合で埋まるほど小さくはなく満足のいく出来にはならなかった。  肩にかけたスクールバックから除くピンクの箱をそっと見やる。 去年と同じ箱にこれまた去年と同じチョコを固めただけの代物が入っている。 とは言ってもかけた手間暇は雲泥の差で、テンパリングの温度から原料までこだわり市販の板チョコではなくクーベルチュールなるものを入手、艶のあるおいしそうなチョコレートになった。 毒見役として召喚した弟曰く、「姉ちゃんやべぇよ! なんかわかんねーけどうめー! もっとちょーだい!」だそうだが、こんな反応ではダメなのだ。 弟が卒倒するくらいの出来でなければ…と、二週間試行錯誤しながら寝る間も惜しみ挑み続けたがゲームオーバー。本番を迎えてしまったのだった。
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