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「マスター…モスコミュールもう1杯…」
「お客様、差し出がましいですが、もうそろそろお止めになられたほうが…」
「いいのぉ!今日は飲みたい気分なんだからぁ…」
私の様子を心配しつつ、マスターは私の5杯目となるモスコミュールを作り始めた。
あの電話の後、私はフラフラと近くにあったこのバーへと入った。
小さいながらも雰囲気もあり、初めて入ったが居心地が良い。
何より、このマスターの柔らかい雰囲気に癒され、居心地の良さを倍増させているように感じる。
お酒はもともと弱いほうではないが、さすがに少し頭がフラフラしている。
それでも、私は飲むことを止めなかった。
頬杖をつきつつ飲み物が出来上がるのを待っていると、お店の扉が開いた音が聞こえた。
「よう、マスター」
「月村様、いらっしゃいませ。お久しぶりですね」
「あー…ちょっと忙しくてな」
マスターに「月村」と呼ばれて入ってきたのは、1人の男性だった。年は30代くらいの落ち着いた雰囲気の人で、スラリと高い背にスーツをしっかりと着こなしている姿はとても様になっている。顔立ちも整っていて、正に「イケメン」と言うに相応しい。
マスターが名前で呼ぶくらいなので、きっとここの常連なのだろう。
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